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平日の疲れた夜に

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おなかすいた。

 

平日の最終日。仕事の緊張感から解放されてまず思ったのがそれだった。冷蔵庫にある食材を思い浮かべながら腕時計を見る。

19時ちょっと前。今ならデパートがまだ開いてる。自炊するのはやめて、お惣菜を買って帰ろう。

 

自宅から一番近いターミナル駅にあるデパートの地下は混雑していて、まっすぐ歩けないほどだった。人の肩越しにショーケースを眺めながら、夕食のメニューを考える。お弁当じゃなくて、せっかくなら色んなものをちょっとずつ食べたいな。

 

「すいません、アボカドとチキンのサラダを150g…あとそこにあるスモークサーモンの生春巻きを1つ下さい。」

サラダ屋さんで立ち止まり、ちょうど空いている店員さんがいたので声をかけた。手慣れた様子で容器に盛り付け、154gでいかがでしょうかとにっこり笑いながら聞かれ、お願いします、と答える。

 

自分じゃ作らない手の込んだ料理を食べれるのは良い。気分が良くなり、美味しいお酒が飲みたくなってきた。せっかくなら缶チューハイとかじゃなく、もう少し良いものがいい。

 

 

あいまいな記憶を頼りに同じフロアの隅の方に行くと、お酒売り場が現れた。食品売り場の白い床と煌々とした明かりとは対照に、黒い床にほの暗い照明で作られた店内は、人がまばらだった。

 

棚をぼーっと眺めながら、ゆっくり売り場を1周する。食べ物が洋っぽいから、今日はワインかなぁ。ワインコーナーをもう1周してみたが、1,000円台から5万円を超えるものもあり、なにが良いか分からない。

 

 

「なにかお探しですか?」

 

棚にあるワインの説明書きをじっと見ていると、胸元にブドウの形のバッジをつけた店員さんが話しかけてきた。

「えっと、今日自宅で飲むワインを探してて…」

「ご自宅用ですね、赤白…何かお好みはございますでしょうか?」

「はっきりとした好みはなくて、今日はアボカドのサラダと生春巻きを食べるのでそれに合うものを…」

 

こんな伝え方でいいんだろうか。不安になりながら店員さんの顔をちらりと見ると、大丈夫ですよとでも言うように微笑まれた。

「そのお料理でしたら、ソーヴィニヨン・ブランというブドウ品種を使ったものがおすすめです。ハーブやグレープフルーツの爽やかな香りが特徴です。」

「へー、美味しそうですね。…これくらいの値段で1本選んでもらっていいですか?」

近くにあった2,980円の値札を指さして何となくの予算を伝える。

 

「でしたらこちらにおすすめのものがございます。」

ワインを冷やしてあるコーナーにあるうちの1本を手に取り、こちらがソーヴィニヨン・ブラン100%です、と言いながら私に見せてくれた。

ドメーヌ・フアシェ、サンセール、レ・ロマンと値札に書かれている。これでお願いしますと答え、会計をしてデパートを後にした。

 

 

家に帰り、買ったものを冷蔵庫に入れて部屋着に着替える。

普段は使わない食器棚の奥の方をあさり、ころんとした形の星柄のグラスを取り出す。大学の同期の結婚式の引き出物で貰ったもの。

 

濃いブルーのソーサーにグラスを乗せ、サラダと生春巻きをお皿に盛りつけてテーブルへ運ぶ。ワインを開けてグラスに注ぐと、グラスの青色にワインの淡黄色が重なる。

 

飲んで口の中に広がったのはレモンの爽やかな香り。あー、これは絶対サーモンと合うやつ。生春巻きを食べてからワインを飲むと、口の中がにぎやか幸せでいっぱいになった。

 

好きなものを食べて、おいしいお酒を気に入っているグラスで飲む。誰に遠慮することのない、1人だけの時間を過ごす。ただそれだけのことなのに、体と心がゆるゆるとほどけていった。

 

 

 

 

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